渡辺八市絵画展  原風景:電子書籍 500円(税込)
渡辺八市絵画展 原風景:電子書籍 500円(税込)

 直線で形作られた抽象構成であるが、非常に暖かみがある。

 

 

シンプルでミニマムであるが、人間味がある。

 

タイトルに『原風景』とあるように、これは人間の潜在意識の中に眠る風景であろうか。

ある単純なシステムが生まれる瞬間のようにも見えるし、細胞の活動の一部をクローズアップしているようにも見える。直線でありながら揺れをはらみ、そこに手の仕業を感じさせる。

 

無機的な直線と有機的な揺れという相対する要素が共存することで、ミスマッチのユーモアのようなものが生まれているのであろう。その「ずれ」のようなものが、「暖かみ」や「人間味」という感覚につながっている。

 

色彩の選択も大きな役割を果たしている。蓄熱してくれそうな大らかな茶色は、全てを受け止めてくれそうな包容力がある。その中での赤と青のアクセントが効果的であり、無くてはならない存在となっている。

 

 

文/パトリック・オベール

Q & A


渡辺 八市(わたなべやいち)

 

1947年 福島県いわき市平に生まれる

1979年 いわき市民美術展にて議長賞

1980年 いわき市民美術展にて現代美術画廊賞

福島県美術展にて福島美術奨功賞

1985年 イーゼル展

1991年 多異夢個展

三軌会出品

1994年 三軌会受賞

三軌会受賞展出品

1995年 三軌会所属団体三軌会

すまいギャラリー個展

阪神大震災義援展覧会出品

日本芸術家精鋭展出品

1996年 ロサンゼルス芸術祭出品

ローマ国際美術博覧会出品

1997年 ロサンゼルス芸術祭出品

パリ世界芸術家精鋭展出品

銀座画廊選抜展出品

ヨーロッパ現代美術展出品 受賞(カンヌ)

個展(福島・ギャラリーいわき)以降‘99 ‘01‘03

1998年 東京・銀座絵画選抜招待作家展出品

2000年 個展(福島・ギャラリー界隈)

2001年 個展(福島・いわき市立草野心平記念文学館)

2006年 アートユニオンジャパン展出品(ニューヨーク)

ブルガリア国債芸術博覧会出品(ブルガリア)

2007年 京都展出品(京都文化博物館)

個展(東京・HACギャラリー) 

原風景は、自分の心のキズを描いたもの


渡辺 八市 (以下 : 渡辺):どうぞどうぞ。

 

ものすごい満面の笑みでどうぞどうぞと出迎えてくれた。

台風で雨も風も吹き込む中、そんなことを気にせず扉全開、笑顔で待っていてくれた。  

 

ー おー、ここがアトリエですね。

 

渡辺:そうです。この場所は、元々両親がやっていた酒屋さんを改造しました。

 

ー そうなんですね。それでビールのポスターとか貼ってあるんですね〜。

 

渡辺:僕は、酒屋を継がずに外で働いていたので、自由に使わせてもらいました。今はね、農業とアルバイトで、個展の時は休んでいいよってなってます。

 

ー へ〜、理解のある方でよかったですね〜。

 

渡辺:はい〜、ありがたいと思っています。

 

早速、代表作の《原風景》について伺った。

 

ー 《原風景》は、そもそもどういうキッカケで生まれたのでしょうか。

 

渡辺:原風景は、自分の心のキズを描いたものから始まったんです。ずっとしまっておいた心のキズが、絵にすることによって癒されていきました。心の風景に花が咲いたような感覚かな。

 

ー なるほど。

 

渡辺:たとえば目、眼球を描こうとすると線が出来上がるんですよ。まずは、平面を描いていきます、そして線を描いていきます。丸い線は描きやすいですね。絵は全て細い筆で描きます。地塗りで6回、最終的には12、13回ぐらいの重ね塗りになるかな。

 

ー 先生が作品に求めるものを一言でいうと何でしょうか?

 

渡辺 : 静けさだね。ほら、歌舞伎やお茶、日本の伝統美のような静けさ。

 

ー なるほど。それは、芸術における究極の境地ですよね。

 

渡辺 : そうかもね。でもね、本当に描きたいのは原風景だけども、静物画も合い間に描くんだ。静物画はよく売れるのよ(笑)。

 

ー たしかに画家の方は、皆さん、花などはよく売れるとおっしゃいますね。

 

渡辺 : それで、生活させて頂けるのもありがたいことです。

渡辺氏のルーツの話となった。


渡辺:昔から絵を描くのは好きだったと思うよ。でもね、中学の頃、絵を描いて褒められたことがあったんだけど、それが頭にきて破いてしまったんです。

 

ー あらま。それは、またなんで?

 

渡辺:なんででしょうね、でもなんだか腹がたったことは覚えてるよ(笑)。

 

ー なるほど〜。

 

渡辺:それから、しばらくは絵をやめていて、ある先生に出会ってからまた描きはじめたんだ。

 

ー 良い出会いだったんですね。

 

渡辺:本当にそう思うよ。その先生の教えは今でも守っている。

 

ー 教え?

 

渡辺:うん、天狗になるなよ、とよく言われた。天狗になったらおしまいだ。日々努力が大切なんだよね。だからアトリエには毎日入るように心がけてるよ。描かない日も勿論あるけど。

 

ー いやあ、お話していても謙虚なイメージですし、天狗にはならないのではないかと思うのですが。

 

渡辺:全然だめ。油断すると、すぐパチンコに行きたくなっちゃうんだ。お金があると行っちゃうから、これはもう依存症だね。

 

ー へー意外ですね。

 

渡辺:全然だめ。油断すると、すぐパチンコに行きたくなっちゃうんだ。お金があると行っちゃうから、これはもう依存症だね。

 

ー 依存症かぁ。

 

渡辺 : あとパチンコやってると、誰にも話しかけられないから、そこもいいね。

小さい町なもんで、歩いているとしょっちゅう声を掛けられるよ。個展いつ?とかさ。

 

ー なるほど。制作に煮詰まったときなど、ひとりになりたい瞬間もありますよね。

 

渡辺 : まあね、でも、そんなこと言ったらみんなに怒られちゃうな。これは内緒ね(笑)。

 

ー 本日は、貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。これからもご制作頑張ってください。あと、事務所に飾る絵画を一つ購入したいです。

  

渡辺:ありがとうございます。大切にしてください。